甲府市の堀田古城園を見てきた
2021.09.23
JR甲府駅から北へ約2kmにある武田神社手前の武田氏館跡歴史館(信玄ミュージアム)と、当社が設計した堀田古城園のランドスケープを見てきた。ふたつの施設は2019年4月に開館し、1年目で100万人を越える入場者があったが、その後コロナ禍の影響により休館を繰り返すことになった。
当社が担当した堀田古城園は昭和8(1933)年に料亭旅館として開業した和風建築に面した日本庭園である。木戸門を武田神社のある北側に設置、入口左には長屋を活用したカフェ兼レストランが営業しており、多くの人が利用していた。平屋の建築に囲まれた中庭はカフェからの出入口もあり、ヒューマンな空間として静かに佇んでいる。主屋側には廊下が巡り手水鉢があるなど、石組や敷石による日本庭園のアイテムが多く見られる。
中庭から南庭に向かう細路は主屋と離れ屋に挟まれた路で、まさに昭和の路地を想い出す空間である。離れ屋も各々の間に小さな中庭をつくり、個性的な空間としている。
南に面する主庭は広がりがあり、明るく遠くの山々も望まれる。庭園の中央に今は枯れている流れと池があり、周囲には低木が繁っている。設計では水を流し池周辺を整備する予定であったが予算の関係で残念ながら整備できなかった。今後、低木の整理だけでもして頂きたいものである。
東南隅に設置した茶室は高床の設えで、高いところから庭園を眺める気持ちの良い部屋である。主屋の縁側から太陽を浴びながら庭園とその背景を見ていると、時間を忘れる様な想いを抱くことができた甲州の旅であった。
戸田 芳樹