中国山東建築大学で講演しました
2016.11.28
11月18日に中国山東省済南市にある山東建築大学で2016「園冶杯」大学生国際園林デザインコンクール審査会が行われ、同時に開催された「園冶フォーラム」で講演してきました。園冶杯はアジア園林協会、〈世界園林〉雑誌社が主催し山東都市建設協会風景園林部会や山東土木建築学会が後援する大学生の景観デザインコンクールで、中国国内から景観に関わる大学の先生や景観デザイナーが招かれ審査する会議でした。予定されたマレーシアからの来賓の都合がつかなかったらしく、海外からは私一人の参加となりました。
二日間に渡るイベントでしたが、都合により私は1日だけの参加となりました。午前9時からのトップバッターでの講演では『風景的路』(風景の道)と題してランドスケープデザイナーになってから30年以上を経た私のこれまでの成り立ちから今後の成り行きを通して、追い求める風景やその想いの源を紹介し学生達へのメッセージとして語ってきました。
フォーラムの講演会は学生が多いため、堅苦しい専門的な内容よりも実務者としての経験を話題にした方が良いと考え、ランドスケープデザイナーを選んだきっかけ、夢を抱いての業界へ就職、そして戸田事務所への加入から今日までの実務とその苦難など、私のランドスケープデザイナーとしての成長の道や実像を紹介しました。ランドスケープデザインは抽象的な考えを図面に表し、最後には見える・聞こえる・触れるといった現実世界をつくるプロセスであることから、根底にある心の風景とは何か、達成感を得ることこそが最大の原動力であることを伝えようと思いました。
午後から行われた審査ではコンクールの統一テーマが解らない中、闇雲に学生達の作品に目を通しました。アイデアやデザイン、表現等どれも質の高い作品がラインナップされており、一審査員として評価する立場を忘れ逆に多くの刺激を受けてきました。
初めて体験するコンクール審査でランドスケープデザイナーとしての初心を思い起こし、そして講演で経験を語ることを通じて私は自分を省みる良い機会を得た様に思います。
日本ではランドスケープデザイナーを目指す学生が年々減少していると言われていますが、中国ではその道を目指す学生の多さと共にランドスケープデザインレベルの向上の勢いには目を見張るものがあります。発展の勢いを感じ、元気を貰ったイベント参加となりました。
吉澤 力