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重慶瑞安天地雍江御庭を再訪した

2016.09.09

重慶の雍江翠璟の一年後に設計した雍江御庭を訪ねた。

計画地は新しい街、瑞安天地を貫く中心道路に面しており、販売上からもそこからのゲートの見えがかりがデザイン上重要なポイントであった。中国における住宅地のゲートは豪華で威圧的なものが好まれるが、ここではヒューマンスケールに心掛け、戸建て住宅に入るようなしつらえとした。水面を渡ってゲートの建物に入り、道を左右に振りながら階段を上り玄関に到達するアプローチである。ここでは歩行の高低差と水面との関係をコントロールした複雑な視線誘導がデザインの特色と言える。

玄関からはエレベーターに乗り一気に駐車場の上部、屋上空間へ。ここから各住宅へは樹木に囲まれた美しい曲線の園路を通り到達する。建物に囲まれた中心部は広々とした大芝生広場とし、自由な活動が可能なスペース設けたが、あまり利用されていない様子であった。中国の公園等の公共空間の芝生広場は一般に立ち入り禁止で、芝生が美しく保たれているが、民間のマンション内においても、その影響なのか居住者でありながらあまり使っていない。この芝生広場の中心には大木を従えたフォーリーを設けてランドマークとして求心性を高めたが、石材の発色が悪くて存在感が希薄で、もう少し目立たせるべきであった。また、石材では注意しないと斑の入った質の悪いものが使われる可能性が高く、改めて設計監理の必要性を感じた。

芝生広場の端部には周回園路があり、各々の住棟を結んでいるが、一周すると太陽の向きが変化して多様な景観に接する事が出来る。高層建物と建物の間のスペースではデッキを設け、新しい街並みが見えるスペースを用意した。ここでは風が通り、気持ちの良い休息の場として使われているようだ。

一方、低層住宅エリアはヒューマンスケールをデザインの主体とし、園路をきめ細やかに設け、樹木と連動したシークエンスを構成している。そして、要所には休息のコーナーやアイストップの壁などを設け、住民の交流の場としての機能も果たしている。

戸田 芳樹

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