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重慶瑞安天地雍江翠璟を再訪した

2016.09.09

数年前竣工した重慶の2つのプロジェクトを訪ねた。

そのひとつ、重慶瑞安天地雍江翠璟は設計時、計画地の高低差が大きい事に驚き、その処理に苦労したプロジェクトであった。実際完成して3年程の年月を経たが、植物がよく茂り、高層建築や高い壁がありながらあまり威圧感のない景観にまとまり、落ち着いた風情をかもし出していた。

ゲートからのアプローチの眺めがこのプロジェクトの一番の売りもので、湾曲する滝に沿いながら階段を上っていくシークエンスは多様な景観を出現させ、予測通りの成果となっていた。また、動的な落水の音と水しぶきに対して、包み込むような樹冠が効果的で安らぎのある高品質な空間となっている。

階段からの見返りも美しく、前方に明・暗の空間が控えておりシークエンスの変化が住宅まで続いている。計画地高所へ階段は続き、石のコバ積みの大きな壁は変化に富み、ツタの絡まった風情は時間を感じさせる。ここからの周囲の景観は一方が高層住宅群、一方が公園の緑地であり、見事なコントラストを提供してくれている。

高所にある会所には広々とした芝生の広場を設け、イベント時に使用できるが時折子ども達が遊んでいる姿にも出会う。会所は小振りな様々な建物が連なり、ヒューマンスケールの庭園がそれらを結んでおり、住民の憩いの場として使われている。高低差のある敷地なので、各所で見上げ、見下ろしの眺めがあり、景観の変化を堪能する事が出来ると同時にこの地が私達の住んでいる住宅なのだという実感が湧くのではないかと思った。

戸田 芳樹

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