講演報告
2016.08.01
去る6月に中国で二度の講演を行ってきました。一つは上海で開かれた生態景観をテーマにした上海市園林緑化協会主催のフォーラム、もう一つは遼寧省の瀋陽農業大学での講演会です。これまで企業でのレクチャー以外、講演会はあまり経験しておらず、まして一月に二回も行ったのは初めての経験でした。
上海のフォーラムでは中国で活動する景観計画設計に携わる面々の一人として講演しました。心の風景と題し、どのように心に響く風景づくりを行うか、深圳市で手掛けた漢京九榕台PJのデザインを中心に、我が社の作品を例に生態景観づくりの観点から話をしました。余韻を感じさせ、想像を導き、未来へのメッセージを込め、丹念にデザインする。自然と結合させる景観計画に必要なこととして、我々の設計作法を強調しました。私は昨年に続く二回目の講演で、会場の雰囲気にも少しは慣れ、今年は昨年よりも落ち着いて話が出来たように思えます。講演会には行政、デベロッパー、設計デザイナー、学生など業界に関わる若い人が多く参加し、皆さんそれぞれに真剣な眼差しでした。
瀋陽農業大学での講演会は我が社の元社員だった鄧舸准教授の招きで開かれました。学校の先生や学生を対象に日本の生態景観づくりの変遷と我が社の実践を紹介しました。環境に対する意識の向上と中国での生態環境づくりの高まりに対し、海門市の長江生態科技城浜江休閑帯計画コンペなどを例に我が社がどの様に取り組み、環境づくりへのメッセージを発しているのかを解説しました。講演会の半分は先生や学生との質疑応答で占められ、生態環境づくりへの関心の高さや学校を掲げての熱心さが伝わってきました。
この講演会を機に実はこれら活動に便乗して他の地域でもデベロッパー設計部や景観設計会社で自社実践をレクチャーし宣伝広報活動を行ってきました。遙かに大きく、遙かに多くのPJを手掛けている彼らに対し、実績が数えるほどしかない我が社の活動を紹介するのも気が引けるのですが、そこは割り切っての活動です。
中国は人から人へと風評が伝わる社会なので、まずは認知し興味をもってもらう事が重要です。そのためには良い実績を積み上げることが一番ですが、その実績を如何に認知してもらうか。人から人へのネットワークが大切なことをこれまで学んできました。中国での持続ある設計活動のため、これからも精力的に広報活動を行っていこうと思います。
吉澤力