港区三田の集合住宅が竣工しました
2016.08.01
当社がランドスケープの設計を担当しました港区三田の集合住宅が竣工しました。
計画地は都心部に残された貴重な森の一角であり、その森をどのように活かし再整備するかが計画の要でありました。
我々は「Necklace of Gardens」をテーマに、森内部の高低差や日照条件、建物との関係性を読み解くことで、大径木の足元に趣の異なる7つの庭を敷地内に点在させました。7つの庭にはそれぞれテーマカラーを設定し、それらをアプローチで緩やかに結ぶことで、宝石が連なるネックレスのような庭を実現しました。新しい庭をつくる一方、既存の石造物や灯籠、自然石を積極的に活用することで土地の歴史を継承し、新旧混交の新しい庭空間を創出しました。
この計画では当初から計画に参入していたイビデングリーンテック(株)との協働作業でもありました。樹木医による既存樹木の診断資料や技術的フォロー、数度に渡った樹木材料の下見材検など、これまでのように画一的に進むプロジェクトとは一線を画した、実際に即したデザインを行う機会に恵まれました。
また、色彩豊かな森を永続的に維持して行く為、「森のコンシェルジュ」と名付けたガーデナーの常駐を提案し、実現に至った点もこの計画の特徴の一つとなりました。ガーデナーとは設計期間中から樹種及び密度について協議を行い、現場で微調整を重ねたことで、一般的な植栽管理では得ることができない、ガーデナーならではの細やかな庭づくりを実現することができました。
結果としてこの森は、非常に動的な森となりました。既存林の活用事例は静的なリノベーションが多い中、既存の大径木の下、自然が様々に移り変わりながら常に華やぎ続けるという点においては大きなチャレンジができたプロジェクトでした。
堀井大輔