錦町TRADSQUAREが竣工しました。
2013.05.07
2013年4月初めに外構設計を担当した錦町TRADSQUAREが竣工しました。
本件は、再開発が進む神田錦町の一画、約2200m2の敷地における16Fの高層複合ビル再開発で、設計初期段階から参画して、諸協議、設計、意匠監理と三年間携わったプロジェクトでした。
立地する神田錦町の名にある錦のように「まち・ひと・自然」が織りなす多様な空間の創出を目指し、限られた敷地内に建つ高層建物の周辺であるため、スペースをいかに有効に、また立体的に活用するかに重点を置いた設計を行いました。
建物東面は、地区の主要幹線に面した本物件の正面にあたり、計画建物は、「本の街・神田」に立地することから紙の積層感を表した横ラインを基調としたデザインで真っ白でシャープな印象の建物でした。そこで足元の舗装は、建物と対比し建物を際立たせると共に、存在感と落ち着いた印象を与える黒を基調とした舗装としました。また、建物の積層感と呼応する白御影石のボーダーを建物内外通して設け、通りにリズム感をもたらすと共に内外のつながりを感じるデザインとしました。
東面とつながる敷地北側の広場状空地は、本建物内や周辺で働く方々の憩いの場として、緑陰と木漏れ日の広場を創出しました。広場内には常落様々な樹木を植栽し、季節ごとに花や紅葉などいろいろな発見があり、緑陰下に設けられたベンチスペースでは思い思いに食事や談笑が楽しめる空間としました。また、隣接建物との境界には高さ3.5mの壁面緑化のパーティションを設け、隣地と仕切ると共に、上部や足元だけでなく側面からも緑に囲まれた空間の創出を図りました。
西面は、東面のフォーマルな装いと趣を変え、本物件の住宅エントランスもあることから、多様な雑木と花木によるヒューマンスケールの路地空間の創出を目指し、南面には、小さいながらも雨水を活用した池を設け、ドライになりがちな当地区に潤いのある街角の創出を目指しました。
春の陽気で草木も芽吹き、竣工を祝うかのように次々と花を咲かせています。本建物の方々や近隣の方々に末永く利用される空間になっていくことを期待します。
古賀 健一