志摩スペイン村 新アトラクションの誕生
2013.05.02
2012年2月 初めて“志摩スペイン村” (三重県伊勢志摩近鉄リゾート)を訪れた時「なんとゆったりとしたテーマパークだろう」と言うのが素朴な感想であった。
眼下にはリアス式海岸特有の入り江、外周は山林に囲まれ、おおらかな美しい自然豊かなパークであるが、何か物足りなさを感じた。広い園路や広場の各々はスペインらしさを表現するよう工夫してつくられているのだが、景観のつながりや空間のスケールがちょっとずつ、おしい!感じなのである。
テーマパークのアトラクションの内容には言及はしないが、屋外環境全体にもっと手を入れれば、グット良くなる筈、が第一印象だった。その中の一つのアトラクションの改修にあたり、当社に景観計画、植栽設計の協力が求められた。点在する花壇の植栽設計と隣接して子供の水の遊び場の施設設計を担当した。
2013年3月1日、改修された新アトラクション「フェリスクルーズ」がオープンした。ペインの祭りのシーンが展開する、ボート周遊型の7分間の旅。スペインの海に浮かんだ花の島々で様々な祭が繰り広げられる、“水と花と祭”の楽園がテーマである。
既存の大池を縮小し、花の島をつくり、その中に祭のアトラクション。ボート周遊路の間に大小の噴水が踊る。
花の島は1年草を主に、宿根草、低・中木の樹木を植栽。祭のイメージ、スケールに合わせ、品種、色彩パターンを選定。スペインカラーの赤と黄色は欠かせないが、3月オープンに見せる1年草は品種がかなり絞られる。また、昨年から今年の気候変化が予定苗を成長させてくれなかった。
花の見せ場で3月オープンはつらいものがある、せめて4月初旬にして欲しい、愛知万博のオープン花壇設置時の“3月のもどり霜”を思い出した。複層的な花のシーン演出のため落葉の宿根草は欠かせないが、オープン時にはまだ地上部は枯れている。また、水の中の島花壇の植替、日常管理を考えて通路も設置、冬季は通路が目立つが暖かくなれば緑の魅力がみられる筈である。早く気温が上がるよう祈るばかリである。
「フェリスクルーズ」に隣接して子供の水の遊び場「チャプチャプチャプラグーン」もオープンした。海中から吹きあがる水とイルカや自然と遊ぶイメージを 外周のクラッシュタイル張りのウォールで演出したデザインと塗り床のバブル模様など、久しぶりのデザインパターンだ。
今年の伊勢神社は神宮で最も重要とされている、20年に一度の大祭「式年遷宮」の年にあたり、伊勢志摩への観光客の増加が見込まれている。伊勢参拝の後は スペイン村や鳥羽で楽しく過ごしてもらいたいと、昨年より伊勢志摩の各施設は改修が行われた。機会があれば 志摩スペイン村へ。
大橋 尚美