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二子玉川の日本庭園

2013.02.20

3月末完成の二子玉川の日本庭園の作庭が最終段階に入って来た。2月20日、池に水を張りポンプを稼働して通水のチェックを行った。庭園の風格も水が入る事でぐっと引き締まり、庭園が有する多様な空間を見る事が出来た。

水の水平性が樹木や建物や各施設をすっきりと浮き立たせた風景に、庭園デザインのベースは平面と立面のコントラストだと再確認させられた。また、園内に滝、流れを数カ所設けており各々の音が歩行空間のシークエンスとして、音量と音質の変化が体験出来る。

「水もの」とか言うように、水の扱いは難しく、ちょっとした曲りや、勾配、高さの違いで表情が大きく変化する。特に滝部では、落口の石の高さの微妙な差が景観の大きな違いをもたらす。やはり、日本庭園において水はなくしてはならない必須アイテムなのだと、水面を前にしてつくづくと感じた。

樹木も高木の植栽は終わり、あとは低木と地被を残すだけになった。今年は寒さが厳しく、地被の姿が特に情けなくなっており、オープン時の景観ではあまり期待出来そうもない。また、高木は落葉時なので、庭園全体の風景が透けており締まりがなく、数年かけて育成して行くしかないと思われる。高木では野木のマツを比較的多く使っており、風にゆらぐ風情が味わい深く、仕立てたマツとは異なった魅力が感じられた。

現時点では、石組が強く目立っているが、落葉樹の葉が繁り、葉の重みで枝が下がり、地被類のボリュームが増せば、程良いバランスとなるであろう。4月14日のオープンには区民の皆様に世界に誇れる日本庭園文化のエッセンスをお届け出来る予定である。なお、公園の一部もオープンするので、外に広がるオープンな空間と凝縮した日本庭園の美の両方を贅沢に堪能していただきたい。

戸田 芳樹

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