グリーンピア津南中央庭園をたずねて
2010.10.30
設計時のなつかしい仲間、森山明氏、藤田和孝氏、地福由紀氏達と一緒に、グリーンピア津南(新潟県)の見学に10月30日に出向いた。
早いもので完成してもう25年の歳月を重ねていた。
越後湯沢駅からの道程も便利になり、当時よりかなり早く現地に到着できた。
さて、現地ではハイシーズンの後で、お目当ての中央庭園は掃除がされてなく、水の循環もなく往時をしのぶ美しさと対面する事はかなわなかった。
しかし空間そのもののベースはゆるぎなく、各所に見られるディテールの工夫も健在であった。
当地は積雪4mの豪雪地帯であったので、デザインはシンプルに、立ち上がる構造物は少なく、丈夫にした設計意図が今も息づいていた。石等の自然素材の持つ強さと永遠性を伸びやかな空間の中で強く感じた。
残念なのは誰が考えたのか、具象彫刻がまるで全体の雰囲気を無視して追加してあるのと、斜面を使った野外ステージ(祭りの時、仮設した化物小屋の様な物)が作られつつあり、愕然とするよりは思わず笑ってしまった。
事業主体も変わり、私達の関係のない所で進んだ事とはいえ、残念な気持ちをいだく結果となった。
一行には私達ベテランの作り手以外にも若手の参加があったので、計画・設計の内容を話していると、私の解説は当時とまったく同じだと藤田氏から指摘を受け、私はまったく進歩していないのか、自己の確信がぶれないというのか、悩ましい問題が発生してしまった・・・。
いずれにしても、藤田氏のきめ細やかな3年間の設計監理は光り輝いており、品質の劣化が所々見られるものの、25年の歳月を感じさせないものであった。
又、地中から掘り出した自然石の石組が風雪に耐えた素晴らしい造形力を発揮していたのにも感激をしてしまった。
今回来られなかった前野望氏が設計したトリムコースは丸太の木材が劣化しておらず、当時のCCA処理防腐能力の高さを感じることが出来た。
そして日が暮れると、秘境秋山郷に向かい一路ひた走りして一日は終わったのであった。
戸田芳樹