社内研修in上海−1933老場坊編−
2010.09.26
上海の繁華街から少し北東に外れた「1933老場坊」を訪ねました。上海各所で行われているリノベーションの一つとして,1933年にイギリス人の建築家によって設計された食肉加工工場をレストランやショップ、オフィス等が入った複合施設に再生したものです。
丸と四角をモチーフとしたラチスの軽やかなファサードと傘型の有機的な形態の柱等が持つ重量感のある構造の組み合わせや、矩形の中庭に挿入された24角形の筒にあちらこちらから廊下や階段が渡る複雑な構成が、迷宮的で創造力を刺激します。
4階には空中舞台と呼ばれるイベントスペースがあります。窓で囲まれた大きな空間の中央にある吹き抜けにガラスの蓋をして円形ステージとなっています。
足元が透けて見える舞台に立つのはかなり勇気が必要です。
アーティスティックなベンチや洗練されたピクト、シャープな手摺等が導入されていますが、改修は最小限になされているので建築自体のユニークな個性が十分楽しめます。
当時、東洋一の食肉加工工場を目指して計画されたそうです。工場という機能優先の建築に対する過剰なまでの造形がアールデコという時代の空気を今に伝えています。
岩田かおり