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万国橋覧会ブリッジ・フォーラムに参加して

2010.09.12

みなとみらい線の馬車道駅から新港エリアへ200m程進んだ運河沿い、保税上屋倉庫を改装した「創造空間万国橋SOKO」にて、万国橋覧会というイベントが開催された。
万国橋SOKOは国内屈指のクリエイターが軒を連ね、そこから発信される様々な作品・情報は目が離せない。
万国橋覧会は今年で3回目を迎え、アートイベント、音楽イベント、まち歩き、オープンオフィス等様々なイベントを通して、創造力により色々なものが繋がっていく事を、参加者が体感できる内容になっていた。

今回参加したブリッジ・フォーラムは、SOKOに入居中のクリエイターからの活動報告、副市長・小松崎隆氏による、文化芸術創造都市・横浜の現状とこれからの取り組みについての基調講演へと続いた。
]参加者が、これからの横浜は創造性がキーワードになっていく事を認識し、体が温まったところでパネルディスカッションが始まった。

テーマは「クリエイティブシティ、横浜がなすべきこと」。
パネラーはアーティストの大巻伸嗣氏、アートディレクターの岡田勉氏、テレビ神奈川の福島俊彦局長、ランドスケープアーキテクトの杉浦榮氏の4名。
コーディネーターはイベントの仕掛け人小嶋寛氏。
いずれもその分野の第一線で活躍される錚々たる顔ぶれである。

横浜出身で横浜に軸足を置いて仕事をされている福島氏は、「他所からカッコイイと評価されている事にあぐらをかいてしまっている横浜が、今ひとつ地元のビジネスの活性化を鈍化させているのでは」と読む。
「川崎の猛追は無視出来ない状況だ」とも説いた。
同じく横浜出身で、東京と横浜で活動されている岡田氏は、「横浜のどこが悪いんですか?横浜の人はよく横浜の事を悪く言いたがるが、もっと自信を持つべきです」と半分激励、半分一喝のお言葉。
横浜に限らず日本人はそのような性質を備えた人が多いと思いつつ、一番にこだわる横浜なら、自信を持って当然と共感した。
横浜出身ではないが、横浜でもアートイベントを展開する大巻氏は、「横浜は多文化交流が行われる軽やかな印象がとても羨ましいが、宣伝下手でもったいない状況を生むまちですね」と、過去に横浜で開催された大きな催事を振り返った。


横浜が宣伝下手なのは良い事か悪い事か。
見方は様々な気がする。
横浜の人が前へ前へアピールすることなく、大したことをさらりとこなすところが格好良いと感じているし、折角のビッグイベントがあまり知られることなく終了する度に残念な気分にもなる。
この際良否はあまり重要ではないが、何かが変わりつつある時代なのかも知れない。
文化芸術創造都市という素晴らしいスローガンを掲げた横浜は、他からの期待に、自信で応えられるようじゃなきゃいけない気持ちにさせられた。
私は15年前横浜に移り住んだ、にわかはまっ子ではあるが、ここ最近少しずつ、横浜で同じ方向性で活動している人と酒を酌み交わす仲を築きつつある。

ディスカッションの冒頭で「横浜とは単に地名を表す言葉ではなく、開港当初、日本が、世界がどう変わっていくのか、どうあるべきなのか、そう言ったspiritを表す言葉なのではないでしょうか」と言った杉浦氏の言葉が、非常に印象的なフォーラムでした。

大橋幸雄

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